ヤナーチェクはフラットの多い調が好き?

相変わらずヤナーチェクに思いをめぐらしていたところ、前に「イェヌーファ」の第3幕の最後、なぜ変ロ長調の調号のまま、変ホ長調で終わるのかと疑問を呈したのですが、よく考えてみると、1つの場につき1つの記号という原則なので、単純に近親調だから変…

新国立劇場「イェヌーファ」感想

昨日(3月5日)の新国立劇場『イェヌーファ』に行ってきました。上演水準については何の心配もしていなかったのですが、期待以上に良かったと思います。忘れないうちに取り急ぎ記載します。 何よりも、トマーシュ・ハヌス指揮の東京交響楽団は、ヤナーチェ…

イェヌーファ 第1幕冒頭の音楽について

「訳者コメント」に書いたヤナーチェクの短い「叙情的モチーフ」ですが、改めて聴いてみると、『イェヌーファ』第1幕の冒頭のシロフォンが「カラカラカラ・・・」と打ち鳴らす音も、まさにそうではないかと思いました。これは水車が水流を受けて、カラカラ…

イェヌーファ ゲネプロの動画とDVDでの予習

Youtubeで、イェヌーファのゲネプロの抜粋がアップされているとのことで、見てみました。 https://www.youtube.com/watch?v=I_DKdGR1cNE なるほど、舞台は結構シンプルですね。ハンナ・シュヴァルツさんは、全然「おばあさん」という感じじゃないので、初め…

イェヌーファ対訳〜「訳者より」アップ

イェヌーファ対訳について、「訳者より」を掲載しました。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/3111.html 主に、ヤナーチェクの人生における「イェヌーファ」の意義と、登場人物の性格を述べたうえで、最後に音楽面について思う所を書いています。 音楽面に…

ヤナーチェク「イェヌーファ」対訳完成

ヤナーチェクの代表作『イェヌーファ』の日本語訳を、オペラ対訳プロジェクトにアップしました。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/413.html 間もなく、新国立劇場で初めてヤナーチェクが上演されることもあり、ヤナーチェクオペラの普及も兼ねて何とか上…

お正月に振り返るニールセン生誕150年

新たな年を迎えました。昨年は公私とも多忙、かつ気力が湧かないということもあり、ほぼ休止状態でありましたが、今年はどうなることやらという感じです。できれば、多少なりとも記事を書ければと思っているところです。 さて、昨年2015年はデンマークの生ん…

新国立劇場「ラインの黄金」

10月4日(日)の公演に行けたので、簡単ですが、その感想を。 飯守泰次郎氏の指揮、東京フィルの演奏は、昨年の『パルジファル』から比べるとイマイチ精度が高くないように思えたのが残念でしたが、全般的には演劇的な側面を重視した演奏だったように思え…

マイスタージンガー第1幕対訳完成

オペラ対訳プロジェクトに、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕をアップしました。 (前半。第2場まで)http://www31.atwiki.jp/oper/pages/135.html (後半。第3場以降)http://www31.atwiki.jp/oper/pages/136.html 予想通りではあったのです…

「名セリフで読み解く指輪」〜第2回「ヴァルキューレ」

「指輪」コメントの第2回です。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/2411.html 「ヴァルキューレ」は、来年4月の東京春祭でも演奏会形式で上演されますので、対訳ともども予習などにご活用いただければと思います。(なお、恒例のNHK・FMバイロイト録…

「名セリフで読み解く指輪」について〜第1回「ラインの黄金」〜

オペラ対訳プロジェクト「ニーベルングの指輪」訳了を機に、訳者コメント代わりに、タイトルのページをアップしたので、ぜひご覧ください。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/2809.html 動画対訳(デッカ版のショルティ=ウィーンフィル)で、該当箇所に直…

オペラ対訳プロジェクト「ニーベルングの指輪」CDプレゼント(明日11月3日締切です)

すでにご覧いただいていると思うのですが、いよいよ明日が締切ということなので、念のため、ご案内です。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/2708.html オペ対の管理人さんによると、昨日時点で、174人とのことです。けっこうな数の方が申し込んでいただ…

「ニーベルングの指輪」対訳完了

本日、オペラ対訳プロジェクト上に、「ジークフリート」第2幕第3場の対訳をアップし、長い間取り組んできた『ニーベルングの指輪』の対訳をようやく完了しました。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/1843.html 「ジークフリート」の第2幕は、アルベリヒ…

クプファー氏の演出について(3)〜新国立劇場「パルジファル」第3幕

ついに2回目の上演の第3幕。 これだけ散々聴いてきて、この幕で終わりかと思うと、一人ため息が出てしまう、世の人々には理解しようもないワーグナーマニアの心理の切なさです。 さて、第3幕でも前奏曲が始まると同時に幕が上がり、第2幕冒頭でクリング…

クプファー氏の演出について(2)〜新国立劇場「パルジファル」第2幕

第2幕では、性的なイメージが喚起されます。前回初めて見た時には、よく分からない部分もあったのですが、改めて見ると、セリフに応じてきちんとした意図が込められていることに好感が持てました。 舞台後方の救いの道の方向に向かって、クリングゾルが槍を…

クプファー氏の演出について(1)〜新国立劇場「パルジファル」第1幕

ハリー・クプファー氏の演出は、基本的に分かりやすい演出だと思うのですが、2回目を見て、さらによく意図が分かってきました。 (まだ14日にもう一日公演があるので、これ以降はネタバレ注意です。) 冒頭、前奏曲のゆったりとしたテンポとともに幕が上…

飯守泰次郎氏の「魂のワーグナー」〜新国立劇場「パルジファル」11日

10月11日に、新国立劇場の『パルジファル』に行ってきました。5日に引き続き2回目です。 全体として、5日を上回って、さらに良くなっていました。2回目を見て良かったです。前回もオケの音色や歌手の点で素晴らしかったのですが、第2幕の後半がうまく…

新国立劇場「パルジファル」感想

とうとう新国立劇場「パルジファル」本番です。5日(土)の公演を聴いてきました。夜も遅いので、まずはざっと感想を。 思った通り、というか思った以上に良かった!の一言に尽きます。 歌手が皆さん、素晴らしかったです。これだけの歌手に恵まれるという…

第1幕「舞台転換の音楽」の「十字架」〜パルジファル公演(6)

いよいよ明日は初日ということで、今日は前夜祭という感じですかね。(私は明日は行けませんが) 第1幕の「舞台転換の音楽」は、ワーグナーの作品の中でも一二を争う壮大な音楽だと思います。 その解説動画というものを、DTMで作ってみました。 https://…

「幼な子のあなたが母の胸に」における聖母マリアとイエス〜パルジファル公演(5)

オペラ対訳プロジェクトで、第2幕でクンドリーが歌う「幼な子のあなたが母の胸に」の動画対訳が公開されています。 http://oper.at.webry.info/201409/article_8.html ソプラノは、レジーヌ・クレスパン。演奏は、ジョルジュ・プレートル指揮のフランス国立…

クンドリー目線から見た「救済者への救済」〜パルジファル公演(4)

パルジファルの最後のセリフ「救済者への救済」Erlösung dem Erlöserは、非常に謎めいた言葉です。 これは私が初めて「パルジファル」をCDで聴いて、CDについていた渡辺護氏の訳を読んだときからの疑問でしたが、実はこれは翻訳の問題ではないかと考え、…

オペラトークを聴いて〜パルジファル公演(3)

本日、新国立劇場パルジファルのオペラトークを、u-streamで視聴することができました。 舩木篤也氏の解説は、「愛の二面性」という言葉で、この作品の「怖さ」を分かりやすく解説していたと思います。 何と言っても、指揮の飯守泰次郎氏のインタビューが楽…

「パルジファル」公演に向けて(2)〜ハリー・クプファー氏インタビューを読んで

新国立劇場のホームページに、演出家のハリー・クプファー氏のインタビューが掲載されていたので、さっそく読みました。 http://www.nntt.jac.go.jp/opera/parsifal/interview/index.html 作品についての考え方は、私の考え方とほぼ一致しています。 前回も…

「パルジファル」公演に向けて(1)〜パルジファルの仏教的側面

いよいよ、新国立劇場の『パルジファル』公演が近づいてきました。かなりワクワクしています。 今回、オペラ対訳プロジェクトの「訳者より」に加筆し、「訳者より」の後篇としました。http://www31.atwiki.jp/oper/pages/456.html#id_5cdcaa9d(パルジファル…

「ジークフリート」第1幕対訳完成と、今年の「パルジファル」への期待

「オペラ対訳プロジェクト」に、「ジークフリート」第1幕の対訳をアップしました。 第1場 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/189.html 第2場 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/190.html 第3場 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/191.htmlこの幕、長…

「アラベラ」のレビュー

新国立劇場のR・シュトラウス『アラベラ』に今日行ってきたので、その感想です。 ひときわ良かったのは、第3幕の大団円でアラベラがズデンカに語りかける所、ここがオケ・歌手とも、とてもバランスが取れた良い響きで堪能しました。いい演奏をライブで聴く…

R・シュトラウス『アラベラ』動画対訳と「訳者より」

今週から新国立劇場でR・シュトラウス『アラベラ』の再演が始まります。「オペラ対訳プロジェクト」の動画対訳の字幕は、3年半前にアップした拙訳です。 http://www31.atwiki.jp/oper/pages/2180.html これに合わせて、あらためて『アラベラ』を字幕込みで…

伊藤恵さんピアノリサイタル

今日は伊藤恵さんのピアノで、紀尾井ホールにベートーヴェンとシューベルトを聴きに行ってきました。 ベートーヴェンは、「悲愴」と作品31-3の変ホ長調のソナタ。その中間に、武満徹の「フォー・アウェイ」の演奏でした。 演奏後に、伊藤さんのご挨拶があっ…

ジョナサン・ノット氏・東京交響楽団「マーラー9番」

今日はサントリーホールに、タイトルのコンサートに行きましたが、とても良かったです。 もちろん曲自体が、20世紀最高と言ってもいい超名曲なわけですが、ノット氏の指揮は、私好みなのかも知れませんが、予想以上に良かったです。(ノット氏の指揮は、フ…

「ラインの黄金」レビュー

アンナ)今日、東京文化会館で東京春祭「ラインの黄金」を聴いてきました。いかがでしたでしょうか。 トマス)久しぶりにワーグナーを聴いたので、基本的にはそれだけで満足ですね。直感的に一番良かったのは、アルベリヒ(トマス・コニエチュニー氏)ですね…