ヤナーチェク「イェヌーファ」対訳完成

ヤナーチェクの代表作『イェヌーファ』の日本語訳を、オペラ対訳プロジェクトにアップしました。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/413.html
間もなく、新国立劇場で初めてヤナーチェクが上演されることもあり、ヤナーチェクオペラの普及も兼ねて何とか上演前にアップしたので、予習などにお役立ていただけると嬉しいです。
なお、このオペラに初めて触れる方のために、「あらすじ」も作りましたので、こちらもご覧ください。(先ほどのリンクからも入れます)
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/3110.html
ただし、一つお断りしないといけないのは、このオペラの原文は、ヤナーチェクと同じくモラヴィア出身のガブリエラ・プライソヴァーの戯曲『彼女の養女』をヤナーチェク自身が台本化したものであり、モラヴィア方言で書かれていることです。あくまで「方言」なので、チェコ語と全然違うわけではないですが、使用単語がかなり独特です。私が手持ちのチェコ語=日本語辞典を引いても、約3割は辞書にないという状態でしたので、そのような箇所は英訳からの重訳となっています。とはいえ、英訳も不明確な場合があるので、どうしても間違いはあると思います。その意味では、完全に原文に即した翻訳とは言い難いのですが、「出すことに意味がある」との思いで、アップしました。細かい所は目をつぶっていただき、劇の大きな流れを捉えるのに、お役立ていただければと考えています。
今回、リブレットの原文も自分で作りました。とはいえ、外国のネット上にアップされているリブレットを探してくるのですが、最初に使ったリブレットは、チェコ語の表記がめちゃくちゃで、「こりゃいかん」と途中でボツにしました。その後、かなりマシなリブレットを探してきて使ったのですが、それでも「このリブレットにはト書きがない」という事実に直面し、ついにはCD付属のブックレットを参考に自分で打ち込むという一大決心(?)に至りました。
こうして、チェコ語のタイプライティングという人生初の得がたい経験がはじまったわけですが、すぐにこぼれたのは「いや〜、チェコの人、たいへんだわ・・・」の一言。英語のアルファベット以外に10文字以上が追加されているので、ほんとに大変です。ěščřžýáíéůú・・・お世話になりました!チェコ語には悪いけど、英語がいかにシンプルか逆に感動してしまい、英語は世界語になるはずだと変な納得の仕方をしてしまいました。
さて、この作業が一段落してやれやれと思ったところで、よく考えてみると、こんなに紛らわしい表記なのだから、かなり信頼できると思っていた使用中のリブレットでもミスはあるのではとの疑念が頭をもたげました。すると案の定、たまにではあるが、一定量のミスを発見。そんなわけで、最後に、セリフ・ト書きを問わず、CD付属のリブレットとの照合を行いました。食い違っている場合は、ISMLPのボーカルスコアとも照合。基本的に多数決を採用しました。いやはや、チェコ語、おそるべし。
以上、グチみたいなものでしたが、そんなわけで、日本語訳は一部不確かではありますが、チェコ語の原文はそれなりに信用できるかと思います。ヤナーチェクの「代表作」をお楽しみいただければと思います。