交響曲第2番『復活』

『復活』の歌唱部分を訳してみました。いろいろな訳を目にするのですが、自分で訳してみないと、訳の良し悪しにかかわらず今ひとつピンとこない時があるので、基本的には自分の勉強用です。

Ⅳ Urlicht

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O Röschen rot!
Der Mensch liegt in größter Not!
Der Mensch liegt in größter Pein!
Je lieber möcht' ich im Himmel sein.
Da kam ich auf einen breiten Weg;
Da kam ein Engelein und wollt’ mich abweisen.
Ach nein! Ich ließ mich nicht abweisen!
Ich bin von Gott und will wieder zu Gott!
Der liebe Gott wird mir ein Lichtchen geben,
Wird leuchten mir bis an das ewig selig Leben!
(Des Knaben Wunderhorn)

第4楽章 始原の光

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ああ・・・小さな赤いバラよ!
人はこの上なく大きな苦難の中にいます!
人はこの上なく大きな痛みの中にいます!
だから私はむしろ天国にいたいのです。
私は広い道にたどりつきました・・・
ところが天使がやって来て、私を追い払おうとするのです。
やめてください!追い払われたりするものですか!
私は神のもとから来たのですから、神のみもとに帰りたいのです!
愛する神様は、きっと私に光を授け、
私を照らして永遠の幸せな生へと導いてくださるでしょう!
(詩:『子供の不思議な角笛』より)

この歌は「天国についたら天使に追い払われそうになった」という展開が面白いです。そこで、Ich ließ mich nicht abweisen!という部分を工夫してみました。直訳だと「私は自分を追い払わせなかった」ですが「!」もついていることですし、直説法で訳すのは気分としては間違っていないように思います。
タイトルは「原光」と訳されることが多いですね。

Ⅴ  

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Aufersteh'n, ja aufersteh'n, wirst du,
Mein Staub, nach kurzer Ruh'!
Unsterblich Leben! Unsterblich Leben
wird, der dich rief, dir geben!

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Wieder aufzublüh'n wirst du gesät!
Der Herr der Ernte geht
und sammelt Garben
uns ein, die starben!

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O glaube, mein Herz, o glaube:
Es geht dir nichts verloren!
Dein ist, ja dein, was du gesehnt!
Dein, was du geliebt, was du gestritten!

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O glaube: Du wardst nicht umsonst geboren!
Hast nicht umsonst gelebt, gelitten!

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Was entstanden ist, das muß vergehen!
Was vergangen, auferstehen!
Hör' auf zu beben!
Bereite dich zu leben!

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O Schmerz! Du Alldurchdringer!
Dir bin ich entrungen!
O Tod! Du Allbezwinger!
Nun bist du bezwungen!
Mit Flügeln, die ich mir errungen,
In heißem Liebesstreben,
Werd' ich entschweben
Zum Licht, zu dem kein Aug' gedrungen!
Sterben werd' ich, um zu leben!

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Aufersteh'n, ja aufersteh'n
wirst du, mein Herz, in einem Nu!
Was du geschlagen
zu Gott wird es dich tragen!
(Friedrich Gottlieb Klopstock / Gustav Mahler)

第5楽章

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よみがえれ!汝、我が塵よ!
しばしの休息のあとによみがえれ!
不死の生命を!不死の生命を、
汝に呼びかけし者が汝に与えん!

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汝が地上に種蒔かれしは、再び花を開かんがため!
収穫の神は来たりて、
死せし藁束たる汝らを
拾い集める。

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おお、信じるのだ。我が心よ。信じるのだ・・・
何一つ失われたものはない!
かつて汝の憧れしものは汝のもの、そう、汝のもの!
汝の愛せしもの、汝の戦いしものは汝のもの!

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おお、信じるのだ。汝はむなしく生を享けたのではない!
むなしく生き、悩んだのではない!

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現れしものは消えるさだめ!
消え去りしものは、よみがえるさだめ!
震えずともよい!
生きるための用意をするのだ!

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ああ!苦痛よ!すべてを貫くものよ!
私はお前の支配を脱した!
ああ!死よ!すべてを征服するものよ!
今やお前のほうが征服されたのだ!
手に入れた翼に乗って
私は熱い愛の思いとともに
軽やかに飛び去っていく・・・
目には見えぬ光のもとへ!
私が死ぬのは生きるためなのだから!(←最初の訳から修正しました

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よみがえれ!よみがえれ!
汝よ、一瞬のうちによみがえれ!
汝が打ち鳴らせし我が心が、
汝を神のみもとへ連れて行くのだ!
(詩:フリードリヒ・ゴットリープ・クロップシュトック 編詩:マーラー

これは感動的な歌詞だと思います。やさしいドイツ語で読みやすいです。唯一はっきりしないのは、最後から2行目のschlagenが何を「打つ(たたく)」のかですが、その前にMein Herzとあるので「心をたたく」と解釈しました。さらに敷衍すると「あなたが生前に影響を与えた人の心が、あなたを神のもとに連れて行く」という解釈になるのかなと思います。もしかしたら、違うかも知れませんが・・・。