「影のない女」第2幕「皇帝アリア」にハマる

音楽だけ聴いていたのですが、これホントいい音楽ですねえ。どこを聴いてもいいのですが、とりわけハマったのが、第2幕の、皇帝が皇妃が人間界に通っているのを発見して「なんと!なんと!」と言っているアリアです。前奏からして、「鷹のシンコペーション」とでも言うべきリズムがオリエンタルです。日本人向けの音楽ですねえ。かがり火を焚けば、もうそのまま「能」の世界です。私の脳内イメージはそんな感じですが、猿之助演出では、どうなんでしょうか?(←気になるので、これ、やっぱ近いうち買おう・・・。トホホ、財布がすっからかんになります)
このシーン、「皇妃は死なねばならん」とかいきなり言い出すので、「なんたるジコチュー男よ・・・!」と思ったのですが、よく聴くと、内面で激しく葛藤しているだけで行為に移さないところが「ゆかしい」感じがしてきました。伊勢物語とか源氏物語で、男が草深い山里に忍んで行くような感じです。でも、ここはセリフだけでは、多分そういう理解になりませんね。何よりもシュトラウスの音楽の力だと思います。
シュトラウスのライトモティーフ技法って、ワーグナーより圧倒的にわかりやすいですね。音楽とストーリーが「一対一」で対応している感じです。観客に、とても親切です。その点、ワーグナーは「なぜ、ここにこのモティーフが?」ということだらけですね。でも、それが魅力だったりもするのでややこしいです。
素人の勝手な意見ですが、リヒャルト・シュトラウスでは「ナンバー・オペラ」の楽しさと「ワーグナー楽劇」の深遠さ(?)とが、うまい具合にアマルガムになっているような気がしますね〜。いずれシュトラウスにはまる予感はしていたのですが、「影のない女」からとは思いませんでした・・・。
私、ワーグナーにはまったのも「パルジファル」からだったりします。やっぱり、ちょっとヘンですね。(笑)
シュトラウスは、素直にエンタメをやっていて、アリア、アンサンブル、合唱、それぞれに技巧をこらしていると思います。それが次々出てくるんですから、楽しいはずです。実演に行くのが「わくわく」ですね。