皇帝、皇妃、そして乳母

当ブログにコメントをいただいておりますgalahadさまが、「影のない女」の鑑賞ガイドを作られておりまして、これは必見です。ストーリーが、とても良くわかります。
http://galahad.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-5d8b.html
先に気がついておれば、私の「あらすじ」は必要無かったですね。galahadさまは、名古屋の猿之助演出もご覧になっていたようなので、入れ込み方が違います。youtubeを見ていると、この演出はいいですねえ。歌舞伎のメイクをすると、全員なぜか日本人に見えます。この「東西融合」って、実は新国立劇場の他の演目の演出にも取り入れていいと思うんですが。歌舞伎座も建て直すようだし、その間、誰か歌舞伎界の人を貸してくれませんかね?(←よく事情も分からずに勝手なことを言っているだけ)
DVD買おうかなと思ったのですが、ちょっと高すぎるので、買い控えてしまいました。字幕付きだし、いいと思うんですけどね。5000円以下なら確実に衝動買いしたと思うのですが。まあ、まずは実演を見てみようかなと思います。
さて、galahadさん記事の⑤にあるのですが、皇帝がガゼル姿の皇妃を捕らえた時、小説版では、皇妃も皇帝に一目ぼれしているということになっているようです。(私も、図書館から「小説版」を借りてきたので、その部分を読んだのですが、なるほど確かにそう書いていますね。)
この部分は、口にこそ出しませんが、オペラ版のセリフでも、確かにそう思わせます。お互いに一目ぼれしたんだから、うまく行くかと思いきや、うまくいかないものですね。案外、これは現実的かも知れません。ただ、この二人は「何とかせねば」とは思うんですね。だから、皇帝は、狩に行って「皇妃をつかまえた鷹」を探そうとし、皇妃は「影を探しに人間の所」に行きます。
ここで、皇妃は道案内として乳母を選ぶのですが、この二人が人間界に降りて行く場面は、『ラインの黄金』でヴォータンとローゲが降りて行く場面を想わせますね。舞台転換の音楽には「鉄床」まで出てきますし。でも、シュトラウスですから、そんなに暗くない爽快な音楽になっています。
乳母は、「ファウスト」のメフィストフェレスみたいな感じでもあります。女版ファウストのような感じなのですが、「ファウスト」でメフィストが重要なごとく、乳母も重要な役回りです。そんなわけで、乳母には、なかなかすごいメゾソプラノがついている場合が多いですね。
次に掲げる動画は、バラクの妻がニルソン、乳母はヴァルナイです。メゾに移ったあとのヴァルナイですが、彼女の暗い神秘的な声質は独特なので、歌い出すと「おっ?」と思ってしまいますね。特に最後のセリフがそうです。音だけ聴いていると、いきなりブリュンヒルデが歌い出したみたい。
http://www.youtube.com/watch?v=bdkjOGIdBXM&feature=related
ラクと皇妃も強力な布陣ですね。でも、これだけ名歌手がいると、逆にちょっとゴテゴテッとした感がありますね。なかなか難しいものです。
う〜む、なかなか皇妃がピンと来ませんね。猿之助演出のルアナさんを載せておきましょう。けっこういいと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Ta5-kanJNaI&NR=1
さらに見てたら、こちらの第1幕のほうがいいかも?
http://www.youtube.com/watch?v=snQ4L8Setug&feature=related
結局、皇妃が良く分からないままなのですが(笑)、それはそれで実演楽しみかも。