ロイヤルコンセルトヘボウの「大地の歌」とバイエルン放送響の「7番」

ファビオ・ルイージとコンセルトヘボウの演奏は、私にとってはちょっと微妙でした。どこが悪いというわけではないのですが、いまひとつ乗らない感じ。ただディーン・スミス氏はこの曲十八番なので、いつもどおり良かったですね。アンナ・ラーションさんも、初めはそんなにでしたが終楽章は良かったです。この曲ってテノールは第1楽章がアピールしどころで、アルトは終楽章が何と言っても聴かせどころですね。ルイージ氏の指揮は、なんとなく機能的すぎるというか、う〜む。端正すぎるというか、私の好みとちょっと違います。でも歌手も良かったし、決して悪くはなかったです。もしライブで聴いたら、まあ満足でしょうね(←えらそうですいません)
前後してしまったのですが、次は録画の「7番」。セガン氏は若々しいですねえ。汗かきまくり。第1楽章はこちらも「う〜ん」でしたが、第2楽章と第3楽章がとてもグッド!これはバイエルン放送響の魅力をうまく引き出しているんですかね。第2楽章の最初のホルンにハッとしてしまいましたが、このおじさん、とてもいい感じです。それ以外にも、オーボエのソロの男性もすごくいいし、楽章の後半のチェロもすごくいい。
私は「7番」というのは、この第2楽章が白眉だと思います。変な話ですが「この曲を何とか世に出したかったから、この交響曲を作ったのでは?」と疑ってしまいます。副題の『夜の歌』というのはそもそもこの第2楽章のことですから、きちんと種明かしをしてくれているわけです。
実際ライブでこの曲を聴くと、やっぱりこの楽章の素晴らしさにはまってしまいます。この楽章はマーラーが一番「現代音楽」に近づいた瞬間のように思えるんですよね。とはいえ古風なセレナーデっぽい所もあり、その揺らぎが実にマーラーらしくて良いです。そのへんの機微を、セガン氏はきちんと表現してくれている感じです。おまけに第3楽章もデリケートな感じで◎です。
これも長い曲なので「第2・第3楽章」を聴いてみてはいかがでしょうか。25分あたりからです。
http://liveweb.arte.tv/de/video/7__Sinfonie_von_Gustav_Mahler/
第5楽章みたいな速い楽章は、私にはイマイチに感じられるのですが、終わったらすごく盛大な拍手ですね。でもこれは、やっぱり中間楽章への拍手なのかな?さすが地元というか、この会場の人たちは、おそらくは理屈ではなく「オケの音色」に反応している気がします。「なんやかや言っているが私なんか全くわかっていないかもなあ」と感じさせる瞬間でした。
この映像は客層を見るのも楽しみなのですが、このコンサートは比較的若めな感じですね。最前列に「父親と小学生ぐらいの子供」が2組いて、第2楽章の初めのあたりで、子供がヴァイオリンを弾くまねをしながらお父さんとささやき合っています。なんかほほえましいですね。
今夜はゲルギエフ=ロンドン響の「巨人」ですが、これも楽しみですね。