新日トリスタンと都響ブラームス1番

おとといの新日フィルのトリスタンは、やはり予想通りというか、藤村さんのブランゲーネが良かったです。彼女はピッチがすごく正確だと思うので、ブランゲーネの歌の最初の「ア〜〜〜〜(すごく長い)〜〜〜インザ〜〜〜〜ム」という部分がすごく良かったです。ここはアルミンク指揮するオケも良かったので、これだけで来た甲斐があったかも知れません。演奏は、第3幕の最初のイングリシュホルンのソロも良かったと思います。
それにしても、やはり主役のトリスタンとイゾルデはもう一つですかねえ・・・。トリスタンのデッカー氏は声は悪くないのですが、声量に欠けるのが惜しいかなと思います。第2幕の2重唱はそれなりに聴けましたが、全体にあまりのってこない感じです。そのあたり観客は正直で、一番拍手の多かったのが藤村さんと、クルヴェナールの石野さんでした。石野さんは、声量もけっこうあるし、クルヴェナールの役を完全に自分のものにしているので、すごくはまっていました。
さて、今日は今日で、アラン・ギルバートが都響を振るというので行ってきました。これは「良かった」の一言です。最初の「ハイドンの主題による変奏曲」からして良かったですが、ベルクの協奏曲はツィンマーマンのヴァイオリンが良かったです。ほんとに柔らかないい音です。後ろ側から見ていると、ベルクのオーケストレーションが「音色旋律ふう」なのが良くわかって面白かったです。実は打楽器が大忙しだったり、トロンボーンの弱音器とか面白かったです。
後半の「ブラームス1番」はギルバートが貫録を見せた演奏だったと思います。客演とはいえ指揮者が違うといいですねえ。私はこの曲をライブで久々に聴きましたが、これだけ熱気があって精妙な1番は良いです。ブラームスを聴いていると、時々チェロの分散和音がはっとするほど美しかったりします。オーボエは心にしみいるメロディーを聴かせてくれますし。都響は「ブラームスむき」な感じがしました。
最近、色んなことで「枯れた諦めの心境」というのが少し分かるようになってきた(?)せいか、ブラームスが親しく感じられるようになってきました。「ブラームス聴けば聴くほど」にしましょうかね(笑)。
それにしても今日のコンサートは行ってよかったです。