あらためてシンフォニエッタとグラゴルミサ、ついでに「我が祖国」

前回紹介したカレル・アンチェルヤナーチェクシンフォニエッタ」(1961年)は、今はこのCDになっているようです。「タラスブーリバ」とのカップリングになっています。

「グラゴルミサ」(1963年)のほうはamazonでは見当たらなかったのですが、CDショップに行くと、ちゃんと別の曲(何だったかな?)とカップリングされて売ってました。こちらも評価が高いので、気になる方はぜひお試しください。
ネットを良く見ると、アンチェルヤナーチェクは評価が高いようです。ネットではそもそもヤナーチェクファンが評価しているから、そうなるのでしょうか?もっとも、この頃のチェコフィルは第2の黄金時代と評価されているので、アンチェルがたぐいまれな指揮者であることは間違いありません。この数年後の「プラハの春」で亡命に追い込まれてしまったのですが・・・。
彼のスメタナ「我が祖国」(1963年。グラゴルミサと同年の録音です)も評価が高いようです。私は、これは第1曲「高い城」が圧巻だと思います。これは・・・言葉では言いようもありません。続く「モルダウ」「シャルカ」もいいのですが、第4曲以降がそれまでに比べるともう一つかな?と。ただ、この連作は、私は今ひとつ全体として聴けるものを発見していない状況です。こちら良ければ、あちら立たずという感じですね。かなり長い時間をかけて作曲した結果としての「連作」なので、統一した作品として演奏するのは案外難しいような印象があります。
もちろん、これは純音楽的に考えた場合で、そういうこととは無関係にチェコ人には胸が熱くなる何かが、この曲にはあるような気がします。
ちなみに、このアンチェルの演奏の「モルダウ」の冒頭のピッチカートは「水滴の音」そのものです。なんじゃ?この音??録音の編集もありそうですが、それでも明らかに今の弦と違いますね。そんな楽しみもあります。
あと、前回の続きで、アウフタクトの話を考えていたのですが、「我が祖国」って、実はドイツ風の弱拍で始まるメロディーが多いです。スメタナの時代は、まだまだ地方に行って民謡を収集するという所まで行ってないので、そうなるのかも知れません。そもそも「チェコ」がまだ存在していないですから。ドヴォルザーク交響曲のテーマを考えると、アウフタクトの旋律が多いですが、これはいわば「よそゆき」だからかも知れません。(「新世界」の4楽章のテーマなんか、まさにそうですね。)でも「スラブ舞曲」とか「ジプシーの歌」では、その名のとおり、ドイツ風リズムではありません。これは過渡期ですかね。