ジークフリート第3幕の対訳完了

ジークフリートとヴォータンの掛け合いを訳して、ようやく第3幕の訳出完了です。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/194.html
『指輪』って訳していくと、いろんなことに気づきますね。「ワグネリアン」が発生するはずです。
面白いセリフを一つだけあげると、ヴォータンがジークフリートに言う「高貴な神が、こんなにも優しくしているのだから、嫉妬の念をかき立てたりはしないでくれ・・・。そうなれば、わしとお前は破滅だぞ!」です。
ヴォータンの「嫉妬」って、要するに、ブリュンヒルデと結婚する(であろう)ジークフリートへの嫉妬なんでしょうね。このあと、いきなり怒りを爆発させるのも、「娘はやらんぞ!」という嫉妬心の爆発なんでしょう。ただ、実は諦めているので、ジークフリートに負けても「悠然と」去っていきます。このへん、日本のTVドラマだと、エルダあたりが「お父さん、そんなことおっしゃらずに・・・」とか言うのかも知れませんが・・・。
それにしても、ヴォータンがこれを最後に「悠然と去っていく」音楽って、単純ですが、本当に素晴らしいです。男性は、これはぐっとくると思います。

さて、これで、いったん「指輪」の訳を中断しようかな、と思います。ワーグナーは『指輪』の作曲を『ジークフリート』第2幕で中断していますので、それと逆のことをするのも、また一興かと。これで、『トリスタン』『パルジファル』『黄昏』『ジークフリート第3幕』と訳したので、ワーグナーの「後期作品」で訳していないのは『マイスタージンガー』だけです。ただ、『マイスタージンガー』は、たぶんワーグナー作品で、いちばん訳がしんどい作品だと思うので、いつになるか、まるでわかりません。
当分、別方向に向かってみる予定です。

※追記
音楽がないと分かりにくいので、期間限定でリンクしました。

(1)ティーレマンバイロイト2008
(2)ブーレーズバイロイト1980
(3)シェーンヴァント・コペンハーゲン2006
どれも一長一短かと思います。(1)は、オケだけになった後は、音色がいい感じで溶けあっていて一番いいと思います。その前もいいと思うのですが、最後のセリフを歌うヴォータンがちょっと・・・。(2)は、オケがセカセカしすぎて、ちょっとうるさい感じがします。(何度も聴いていると、そんなに悪くないような気もしますが。)このジークフリートは「ヒッピー」です。(3)は本題の「悠然と去る」ところの音楽を一番想いをこめてやっている感じがします。このオケは、ホルンや木管が個性的で面白いです。オケだけの部分も、それらがすごく目立ちます。ホールの音響と録音のせいもあるのかも知れません。