新日フィル・ブルックナー「テ・デウム」など

最近の猛暑で夏バテ気味でした。
そんな中、今日行ってみたのですが、とても良かったです。指揮はC・アルミンク、会場・サントリーホール。合唱は栗友会合唱団。

曲目がとてもいいですね。前半は、ブラームスの「悲歌」とR・シュトラウスの「四つの最後の歌」。後半は、やはりブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」とブルックナー「テ・デウム」。
ブラームスの「悲歌」は、まったく聞いたことが無かったので予習したのですが、とてもいい曲ですね。こんないい曲をなぜ知らずに暮らしてきたのかフシギなぐらいです。合唱もいいですが、オケがなかなかのものです。後半の「ハイドン変奏曲」もそうなのですが、弦と管がうまい具合にブレンドされて、ほんとにいい音になっていました。
思うのですが、ブラームスは、ライブで聴くに限るのではないでしょうか。レコードだと、なぜか良い部分が9割方カットされてしまうような気がしてなりません。「ハイドン変奏曲」なんて、CDだと、どうってことない音楽のような気がしますが、ライブだと冒頭の木管からして、何とも言えず、いい味わいです。演奏もいいので、よけいそう感じます。
「四つの最後の歌」は、もともと予定していたイェンセンさんという方がキャンセルで、イルディコ・ライモンディという方のソプラノでした。こちらも良かったです。シュトラウスオーケストレーションというのは、本当に流麗です。今日の演奏は、第2曲冒頭の低弦の入りとかが良かったです。新日フィルは、久しぶりに行ったのですが、管もいいですね。とにかくバランスがいいです。ホルンもいいし、コンマスのソロも良いです。この方は、弾きぶりがなかなか個性的な方です。
ブルックナー「テ・デウム」は圧巻。最初の一音から圧倒的感銘の世界です。考えてみると、私は、この曲初めてライブで聴きました。合唱付きですし、ソロが4人いるし、オルガンも入っているし、ブルックナーの作品で最も派手なものではないかと。作曲者の生前も、確か「7番」と並んで、最もウケの良かった作品だったと思います。確かに、これが受けなかったら、何が受けるんだ?というような曲です。
アルトは小山由美さんだったのですが、ソロの部分はほとんどないんですね。たいがい、ソプラノのイルディコさんと一緒に歌っているというのが、ライブだと良く分かります。逆に、ソロが多いのはテノールですが、ベルヒトルト氏はなかなか良かったです。バスの初鹿野さんも安定した歌いぶり。
この曲は、どこをとっても本当に素晴らしいと思います。合唱団が、丁寧にそのハーモニーを守っているので、ほんとに良かったです。終結部直前で「7番」第2楽章と同じモティーフが出てくるのですが、このあたりの和声進行には素晴らしいインスピレーションが感じられます。ワーグナーの影響を自分の個性で咀嚼して、似て非なる、もう一段上のものに仕立てたような感じです。
今さらでお恥ずかしやなのですが、アルミンクは、かなり好きになってきました。こういう演目だと余計感じるのですが、キンキンしないザワザワッとするようなドイツ系のサウンドをうまく作っています。バランスを取って、弦と管を溶けあわせつつ、歌わせる所は歌わせています。
あまりに居心地のいい音だったので、帰るのが惜しいような2時間でした。あと1時間ぐらい続いてくれて良かったんですけどねえ・・・。