第1幕第1場を訳しました

神々の黄昏第1幕第1場をアップしました。こちらです。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/198.html
この場面のドイツ語って、回りくどい表現と言うか、けっこう訳しにくいので苦心しました。その回りくどさをうまく出せればいいのですが、なかなか至難な業ですね。そんな才能はないので、できるだけ意味が取りやすい訳を目指してみました。というわけで、意味不明な所があったら、ぜひご指摘ください。
ここは、音楽もアイロニカルです。3拍子ですから、気の抜けたダンス(ガボットとか?)とでも言うんですかね?案外、本当にダンスしている演出があったりして・・・(笑)。その中に、ハーゲンのモティーフ(増4度=不協和音の下降音程)が執拗に繰り返されて、この場面を支配しているのはハーゲンだということが示されます。
セリフ面で気になるのは兄弟たちの関係で、グンターとグートルーネは同じ父母の子供ですが、ハーゲンは、アルベリヒが母親(グリムヒルデ。父親の名前は出てこない)をだまして産んだ子供という設定になっています。
あんまり、その設定をくだくだ考えようとも思わないのですが、大事なのは、ワーグナーは自分が「戸籍上の父親」の子供ではないんじゃないかという疑念を抱き続けていたということです。事実がどうなのかはともかく、その疑念は、彼の全ての創作の原動力になっているのは間違いないと思います。「リング」では、水面に自分の姿を映すジークフリートに、そして、このハーゲンに、と二重にそのコンプレックスが描かれていると思います。