ワーグナーにおける「もっとかわいくていいキャラ」とは?

最近、コペンハーゲン・リング以来、指揮者シェーンヴァント氏⇒ニールセン⇒デンマークのニールセンフェスティバルとつながり、本業をおろそかにしている(←仕事じゃないって・・・)気がするので、ちょっと考えてみました。
前から少し思っていて、最近さらに感じるのは、どうも、ワーグナー演奏というのは「オケを重くやりすぎている」きらいがあるような気がいたします。いい意味で「軽い」演奏があってもいいのでは?という気がします。「軽い」というか「透明な」って感じでしょうか。
ビルギット・ニルソンは自伝で「カラヤンがフォルテの演奏を流行させてしまった」と書いています。そして、声量の少ないライト級の歌手が多くなったにもかかわらず、多くの指揮者がそれを受け継いだともあります。ニルソンはカラヤンに物凄く辛いので、少し割り引いて考えた方がいいかも知れませんが、確かに、どうもこの60年代の頃からバランスを考えなくなったように思います。
それ以前のクナッパーツブッシュとかも、何となく大音響でやっていたようなイメージをつい持ってしまいますが、ニルソンは彼については絶賛しています。私も、聴く限りクナは歌手に合わせている気がします。その分、歌が無くなる「間奏曲」とかになると「ドカーン」とやるから、そのコントラストが実は面白いように思えます。
一方、歌手のほうも時として「重すぎ」のような気がしてきました。この前、ケルビーノのアリアで思ったのですが、実は、歌う人によってキャラそのものが変わりますから、決して「こうでなけりゃいかん」と固定的に考える必要はないのではないか?と。もちろん好き嫌いは、それぞれあるでしょうが。
「指輪」のミーメなんか基本的に愛すべきキャラで、初めから「アウアウアウ〜」とか泣きわめいていますから、もっと声も見かけもかわいくていいのでは?(そういう意味では、この前の新国は、あの人のガタイじゃ難しいかも?でもファフナーはむしろカワイイ路線だったような気が?)ちなみに、昨年のバイロイトでは、フォークトが歌ってましたが、これはむしろ「カッコイイ」方向に行ってますね。それはそれで面白いのですが、フランツのジークフリートと混ざると、どっちがミーメで、どっちがジークフリートか分からないという驚くべき事態が発生していました。
以下、もっと可愛くていいように思えるキャラを。
・「オランダ人」ダーラント(この前のビリエル氏の歌唱を聴いてそう思った)
・「マイスタージンガーベックメッサー(Beckmesser,kein besser(拙訳「ベックメッサー、かっこいっさ〜」)とかダジャレを飛ばして帰って行く愛すべきキャラ。もともとそれなりにカワイイ感じかも)
・「パルジファル」クリングゾル(クンドリーに「あんたが純潔なの?」とか言われて怒り出すウブキャラ。案外これ、ビリエル氏がはまらないか?)
あと、「トリスタン」では、脇役ですが「羊飼い」をかわいくしてくれ〜と思います。前にも書いたのですが、なんで爺ちゃんが多いんだ??これこそ固定観念だと思います。