アストリッド・ヴァルナイ「ヴェーゼンドンク歌曲集」

相変わらずFroSch(「Die Frau ohne Shatten」=「影のない女」の頭文字。ドイツ語で「カエル」ですね)を聴いているのですが、この前、「乳母」役でアストリッド・ヴァルナイが出ていたので、そんなつながりで引っかかった、この動画に激しくハマってしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=90YPf55PoRE&feature=related
ワーグナーの「ヴェーゼンドンク歌曲集」の第3曲ですね。
そして、たまたまCDショップに行ってみたら、おお!ちょうどそれがあった!「なんと!なんと!」(←FroSchの皇帝アリア)みたいな感じです。このCDには、この歌曲集が全部入っていました。
他には、「イゾルデの呪い」「ブリュンヒルデの目ざめ」「同・自己犠牲」があるのですが、何と言っても「ヴェーゼンドンク」が光ります。(「イゾルデの呪い」もけっこう聴けました。ブリュンヒルデはライブのほうがいいかも。)
正直言って、この曲自体が「トリスタン」のためのエテュードというぐらいにしか思っていなかったのですが、今回かなり認識が変わりました。目からウロコです。
ヴァルナイのこの歌曲集の表現は「一人でやるオペラ」ですね。彼女の声は、ほんと独特ですから、好き嫌いがあるかも知れません。とりわけ、男性にグッとくるんじゃないでしょうかね?ちょっと非日常的だけど、一面、きわめて人間的な、名状しがたい声と抑揚です。彼女の歌には「アルカイック」というような評もあったように思います。確かに、歌い出しからして、いきなり2000年前のギリシャアクロポリスの丘に立っているような感じがします。
ううむ。。。書けば書くほど、彼女がなぜ現代人にとってマイナーなのかを証している気もしてきます。
と思って、また聴いてみると(5回目だ・・・)、もう即座に飲み込まれてしまう。何だこりゃ???1曲目から、スゴいんですが、2曲目のテンポの早さが、またいいです。それが曲の後半では、言葉を一つ一つかみしめるような雰囲気に変わります。
そう考えると、第3曲は、シンフォニーで言う「緩徐楽章」かも知れません。案外、この「歌曲集」こそ、ワーグナーが書いた唯一の「交響曲」かも知れません。実はこれが、マーラーの「大地の歌」やベルクの「叙情組曲」につながっているのかも?
今日は珍しく、心臓バクバクのままに、書きつづってしまいました。