ルル第1幕完成

しばらく中断していた「ルル」の訳ですが、第3場をアップしたので、やっと第1幕が終了です。コチラです↓
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/270.html
ルルって、一見シリアスな話ですが、ユーモラスな所がいっぱいあって、それが魅力です。その点、どこまでもシリアスなのが「ヴォツェック」で、これ、私はダメなんですよね。音楽はもちろんいいんですけどねえ。もちろん趣味の問題ですけれど。
今思ったのですが、そもそも「階級社会」みたいなものを前提としているのが、何かいやに感じる理由かも??モーツァルトですら(というか、だからこそ?)、そんなの無いのに。
でも、食わず嫌いということもあるから、一回舞台で見ると、何か新鮮なものがあるかも知れません。(ただ、この前、新国でやった時のは、レビューを色々読む限り行かなくて良かった、だったかも?ややこしいです)

私が「ルル」で好きなキャラは、アルヴァで、これは作曲者自身が自分を投影していて、それが面白いところですね。つまり、アルバン=アルヴァで、そのことはすでに「猛獣使いのプロローグ」でも明らかにされています。そのために、ベルクは、ヴェーデキントの原作では「劇作家」だったアルヴァを「作曲家」に変えています。
この第3場では、「作曲家アルヴァ」が「ルルを題材にオペラを書いたなら面白いだろうなあ」と言い、「第3場?おいおい、このまま続ける気かよ」というような所が笑えます。
あと、「舞台裏が舞台」というのは、ヤナーチェクの「マクロプロス事件」第2幕と同じです。ヒロインに男たちがぞっこんになるというのも似ています。偶然の一致なんでしょうかね?
原作は、チャペックよりヴェーデキントのほうが全然先ですが、作曲はベルクの方があとです。どちらも原作者がなかなかの大物です。日本ではどちらもさっぱり知られていないような気がしますが。

それにしても、第2場に出て来るシゴルヒって、存在自体がユーモラスで好きです。このオペラって第3幕までにみんな死んじゃうから、「そして誰もいなくなった」なのですが、この人だけは、最後まで生き残って、どこかに消えていきます。ルルもそうなのですが、神話的なイメージです。これ、原作自体が、やはりものすごく面白いですねえ。
ルルって、あまり「しいたげられている」感じはしないので、それも楽しい原因かもしれません。う〜む、そうすると私は「ヴォツェック」の「しいたげられ方」がイヤなのかも知れませんね。「こんなこといつもあるから、わざわざ舞台で見なくていいじゃん!」みたいな。
とりとめのない話になってしまいました。