ラインの黄金の聴きどころ(おまけ)
トマス)前々回のラインの黄金の記事で、フィナーレ近くの「剣の動機」の話をしたのですが、音源がないと分かりにくいので作ってみました。何かの参考になるかと。
https://www.youtube.com/watch?v=HT5nYi-glyo&list=UUo8ouMI284uxN0n_49A7SOQ
ヨハン)これって・・・。よくこんなことやる気になりますね・・・。
トマス)あくまでサンプルですからね。オケ音源の練習をしてみたかったこともあっただけなので、あまり、まじめに受け取らないでくださいね。
アンナ)最初の「剣の動機」の登場は、DTMでもまあまあ、さまになりますね。
トマス)これを作りたくてやってみたかったのですが、よく考えてみると、そのあとのヴォータンのセリフがどうしようもないので、そのメロディーは適当に別の楽器で代用です。2曲目も、ハープとか入れていないし、後半は伴奏音型を面倒くさくなって省略してます。
ヨハン)最後にトリルだけが残ると、かえって「諷刺」な感じが伝わりますね。
トマス)ここ、ご丁寧にも、ピッコロまでトリルで加わりますしね。
アンナ)省略の、ズン・チャ・チャチャチャ、ズン・チャ・チャチャチャというリズムは、ヴァルハラのモチーフの後半ですが、ここでは何となくよろめき行くような・・・。
ヨハン)考えてみると、3拍子の行進曲というのも、なんかヘンですね。ティンパニのタタタタンという3連符も。
トマス)その、タタタタンも、ヴァルハラのモチーフとセットですね。ちなみに、『神々の黄昏』の「ブリュンヒルデの自己犠牲」の出だしでも、タタタタンが出てきますが、全然雰囲気が異なりますね。
アンナ)動画の最後は、ラインの黄金のモチーフですが、なるほど剣のモチーフとそっくりに聞こえます。
トマス)最後の「ラインゴルト!ラインゴルト!」のモチーフは、これこそオマケです。いちど「初音ミク」で作ってみた(笑)のですが、モノにならなかったので、インストだけになってます。
ヨハン)ボカロにドイツ語はまだ難しいんですかね(笑)
アンナ)日本語というのが、そもそも比較的機械に優しい言語かも知れません。
トマス)お口直しに、さっきの『ブリュンヒルデの自己犠牲』の冒頭をあらためて聴いてみましょう。「ライン」の終幕と同じ素材を使いつつも、似て非なる音楽になっています。調性は最初ハ長調で、目まぐるしくどんどん転調していくのに全然違和感がないのは、『黄昏』における作曲技術の目覚ましい進歩を感じずにはおれません。
http://www.youtube.com/watch?v=4WkGkCYrF-s
アンナ)こうしてあらためて「タタタタン」を聴いてみると、感慨深いものがありますね。ラインの黄金のフィナーレが、ラインの娘たちが歌うような「虚偽」だとすると、そのヴァルハラを焼き尽くそうとブリュンヒルデが歌う「自己犠牲」の冒頭は、荘厳な中にも悲しみを湛えているような音楽です。
ヨハン)あらためて聴いていると、最後のほうも、トランペットがタタタターンとやりますし、ヴァルハラのモチーフの後半(ズン・チャ・チャチャチャ)は4拍子に引き伸ばされて現れているので、全然違う印象を受けますね。
トマス)「ラインの黄金のファンファーレ」もありますしね。むしろ最初にこれを聴いたほうが、「ラインの黄金」が分かりやすくなるかも知れませんね。