オペラ雑談の続き〜ルチア・ポップCDを聴きながら〜

昨夜は酔っ払って、そのまま居眠りしてしまいました。4時ごろに目が覚めて、ワッと思い、布団にもぐりこんで、11時近くに起きました。仕事のストレスなのか、最近酒量が増えて、いけません。運動したほうがいいと思って、ちょっとトレーニングするのですが、汗をかいたその分ビールを飲んでしまいます。いけませんね〜。昨夜の日記は、あの展開だとまさに「三文オペラ」(笑)なので、最後をカットしました。
それにしても、昨日購入したルチア・ポップ4枚組CDは、いいですね・・・。
昨日のスラブアリアにとどまらず、アイヒホルン=ミュンヘン放送響との「Dove Sono」(『フィガロ』伯爵夫人のアリア)なども絶品。なにこれ?伯爵夫人としては若々しすぎる声かもしれませんが、「非の打ちどころのない」と「最高度のセンシティビティ」が両立している歌唱。すごすぎ。
さて、「フィガロ」といえば、11月に日生劇場50周年の記念公演があるので、これを楽しみにしています。
オール日本人キャストですが、演奏は広上淳一氏と新日フィルですから、きっと申し分ない演奏でしょう。
演出も菅尾友さんという日本の方ですが、期待大です。
日生劇場というのは、何度か足を運んでいますが、こじんまりとしていますが、とてもいいホールですね。広い意味の「演劇」を見に行くなら、ここが東京で一番いい所のように思います。
それにしても、ポップさんのいたころのミュンヘンとかにいたかったものです・・・。きっと思いっきり散財してしまったような気もしますが。
ところで、たまに、フルトヴェングラーの最盛期にライブで聴きたかった・・・という人がいらっしゃいますが、「あの・・・それって第二次世界大戦中(しかもナチス支配下)ですよ」という気も。あえて言いませんが。ただ、気持ちはわかります。戦時中のベートーヴェンのシンフォニーライブとか、モノラルであっても凄まじい。ほかのが聴けなくなるのが難点か。
話をもとに戻すと、ルチア・ポップ自身がインタビューかなんかで言っていたと思いますが、オペラというのは、アンサンブルでやるものなので、それが充実していないことには何ともなりませんね。まあ、なんだってそうですが、要はチームワークの総合力なので、私たちはスターをほめながら、キャスト・スタッフの全員を称えているということでしょう。オケの演奏だって、指揮者は「代表」なのであって、演奏しているのは奏者なのですから。
そういう意味では、オペラというのはきわめて刺激的な世界ではあります。歌手の調子がありますから、完璧な公演というのは、考えられないですね。
ルチア・ポップは多方面で活躍しているのですが、ワーグナーは少ないです。ただ『タンホイザー』のエリーザベトのスタジオ録音が残っています。『ヴァルキューレ』が訳了し、次は『タンホイザー』に行く予定なので、しばらくこのディスクのお世話になりそうです。
他にも、ラインの乙女とノルンを歌っているCD(ヤノフスキの『指輪』。あまり評判がよくない。私もよくないと思うので、ポップさんのところだけを録音して(笑)、中古ショップに売ってしまいました。)がありますが、なぜ「エルザの夢」を残してくれなかったんだと。きわめて残念。残してくれていたらなあ・・・。ワーグナーじゃないですが、「アラベラ」の日本公演は、テレビ放映されているから、映像が残っているはず。なんとか復刻発売してほしいです。
さて・・・。
う〜ん。今聴いているマスネの「マノン」からのアリアもいいですね。・・・と思っていたら、次のシャルパンティエ「ルイーゼ」もすごい。
でも、そのまた次のスメタナ売られた花嫁」からのアリアは、もっとすごい。母国語だからというのもあるのでしょうが、ため息とともに歌われる表現のレインジが超越的。この人の歌はすごく「知的演劇的歌唱」だと思います。
上記、完全にファン心理ですね・・・お恥ずかしいかぎりです。
さて、「タンホイザー」は、「オペ対」にリクエストをいただいていたこともありますが、新国立劇場の年明けの公演がありますので、やはりその前には仕上げようと思います。
でも「タンホイザー」というのは、私は昔から苦手なオペラなんですよ。プロットも悪くないのですが、なんとなく世間に妥協している感じがするのは「音楽」です。すごく「生煮え」な感じがします。これに比べると「オランダ人」のほうが音楽はいいように思うんですね。
ワーグナー自身もそう感じていたようで、そこで第1幕に「ヴェーヌスベルクの音楽」を追加したら、ますますギャップが広がってしまい、なんか継ぎはぎ感が余計目立ってしまいました。
ワーグナーは「私はタンホイザーに対して責任がある」と言っています。原文を確認してないので、謎めいた一言なのですが、言いたいことはおそらく、まず第一に「プロット上の中途半端さ」ですね。この点は「パルジファル」によって「責任を果たした」と思います。第2に「音楽上の中途半端さ」なのですが、この点だけはどうしようもなかったと思います。タンホイザーの最初の歌のように「有節歌曲」を超えられていないのです。逆に言えば、この「しばり」を「ローエングリン」ではよく乗り越えたなと思います。本当にすごいです。
ルチア・ポップ4枚組の4枚目のラストは「古典」。モンテヴェルディオルフェオ」からのアリア。カール・オルフカルミナ・ブラーナの作者)の編曲?面白いですね。そのあとのヘンデルとバッハは、すでに持っていますが、音質は前よりいいですね。バッハのカンタータ「地に喜びの声をあげよ」は、コロラトゥーラ・ソプラノの超難曲だと思いますが、ポップさんの凄さは、テクニカルな部分は完璧に押さえ、しかも第2曲のレチタティーヴォをこれ以上ない表現性で歌っているところですね。続く第3曲のアリアも素晴らしすぎる。第4曲の「ハレルヤ」は言うまでもないです・・・。
アンナ)ずいぶんルチア・ポップさんネタが続きましたが、この最後のCDは、私も超愛聴盤です。ストリングスも素敵ですよね?なんでこんないい音なの?これ、ヴィヴァルディ?もしかして、ベネチィアのサン・マルコ広場にバッハがいるの?美しすぎて涙が出ちゃいます。

Cantatas & Arias With Trumpet

Cantatas & Arias With Trumpet

Lucia Popp/ Jauchzet Gott in allen Landen

Lucia Popp/ Jauchzet Gott in allen Landen

ヨハン)ほんとだ・・・。心洗われる演奏ですね・・・。美しすぎます。
アンナ)ポップさん亡きいま、トマスさんのアイドルはどなたですか?
トマス)まずは、ミヒャエラ・カウネさんですね。去年、新国立劇場の「アラベラ」を見に行って、すっかりファンになってしまいました。もちろん、CDを買いに行きましたよ。そんなには無いですけれど、素晴らしいの一言。シューマンもR・シュトラウスもいいですが、やはりシューマンですかね。
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そしてアンジェリカ・キルヒシュレーガーさん。上野にライブを聴きに行く予定だったのですが、震災で中止になっちゃいました。また来てほしいです。
Complete Songs Vol. 1

Complete Songs Vol. 1

このブラームス歌曲集が素晴らしいです。
ワーグナー歌手としては、イレーネ・テオリンさまですね。やはり圧倒的に素晴らしいと思います。私が思うには、この人は、たぶん過去数十年で最もすぐれたブリュンヒルデ歌手ですね。表現が体から出てきています。それが一番大事なことだと思うんですよ。役との一体感があります。