ヴァルキューレ第3幕第2場

第2場を「オペ対」にアップしました。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/97.html
ここは、第1場と第3場の「つなぎ」のシーンで、8人のヴァルキューレ達が歌います。
10人も娘がいる(ジークリンデを含めて)というのに、ブリュンヒルデだけを可愛がっているヴォータンって何なんだ・・・という気もしますが。
とはいえ、かく言う私も、ワーグナーの登場人物の中で、一番好きなヒロインはブリュンヒルデです。このヒロインのモデルはベートーヴェンフィデリオ』の「レオノーレ」であり、「自由」と「愛」(「人類愛」というべきもの)が彼女を動かします。
しかし、ワーグナーの場合、ベートーヴェンよりも時代がずいぶん下っているので、近代の理想であったはずのそうした概念について、かなり懐疑的な見方がされています。ここでブリュンヒルデを動かすのは、あまりにもナイーブな理想主義なのかも知れません。ただ、ブリュンヒルデが「自由」を選んだという意味は、この作品にとって決定的に重要です。
多くの『指輪』の解説はヴォータンに焦点を当てすぎでしょう。ただ、なぜそうなるのかはよく理解できる気がして、要は単純に多くの中年男性にとってヴォータンの心理が「すごくよく分かる」からでしょう。ただ、それが結局『指輪』の理解を一面貧しくしているようにも思えます。
そんなことを考えながら、三連休に入る前に「第3場」を翻訳していたら、私には珍しく明け方までやってしまい、次の日は体じゅうが痛くなって、連休の初日をふいにしてしまいました。たかが翻訳するだけで、こんな思いをするのですから、何もないところからこんなものを創作して、作曲し、オーケストレーションをし、浄書したワーグナー疲労が思い知られます。(手紙でしょっちゅういろんな人に愚痴っていますが、それが気晴らしだったのでしょう。もっとも、彼に限らず、この時代の人はパワフルすぎて、ついていけないようにすら思えます。)
これで「ヴァルキューレ」も訳了しそうです(といっても、あくまで「趣味の対訳」ですが)。やはり最後のシーンがいいですねえ。