パルジファルあらすじ&「泣くペテロ」のオマージュ

オペラ対訳プロジェクトには「あらすじ」がなかったので作ってみました。http://www31.atwiki.jp/oper/pages/2381.html超訳」ならぬ「超ダイジェスト」とでもいう感じでもありますが、今回、対話形式でいろいろと考えてみたので、そのエッセンスを取り出してみました。
さて、話は変わりますが、以前の記事で「聖金曜日の音楽」の初めのほうでパルジファルが歌う「泣くしかないのでは」のweinenについて「バッハのレチタティーヴォを思わせる」と書いたのですが、あとで気になって調べてみたところ、ちょっと面白い発見がありました。
マタイ受難曲』の「ペテロの否認」で福音史家が歌う「weinen bitterlich」(ペテロは激しく泣いた)のweinen最初の音は「嬰ホ」で、パルジファルと同じ。調性(というより調号か)もまったく同じロ短調(シャープ2つ)。しかも『パルジファル』の場合は、この箇所からバッハと同じ調号になるので、これにはちょっとびっくりしました。
もちろんそのあと、バッハではあの「偉大なメリスマ」が続きますから、比較する気などさらさらありません。バッハのメリスマの最高音は「イ」音。パルジファルの歌はメリスマではなくて単純に二分音符「嬰ホ」のあとに8分音符「ロ」が続くだけなのですが、もちろん上行する点は同じです。
『マタイ』の「ペテロの否認」のくだりは超有名な音楽ですから、ワーグナーは意図的に同じ音にしたような気もしないではありません。「後悔の涙」という点で、意味も近いですからね。もっともバッハの音楽ほど手が込んだ音楽ではないので、ちょっとオマージュ風にしてみただけかも知れませんが・・・。
それにしても、雰囲気が似ているなあと思って調べたら、思った以上に面白いことに気づいてしまった感じです。だからどうだということでもないですが、小ネタとして。