マーラーチェンバーオケのマーラー
今夜は、マーラーチェンバーオーケストラのマーラープログラムを聴いてきました。
(オーチャードホール。ダニエル・ハーディング指揮。ソプラノ:モイツァ・エルトマン)
最初は『花の章』ですが、やはり実演で聴くと違いますね。「劇付随音楽」だったことが良く分かる感じです。
『角笛』からの5曲も、この前ネットで見たのよりライブの方が全然いいですね。ソロのモイツァ・エルトマンさんの鈴のような声は良いです。面白いのは「この世の生活」の弦楽器の演奏で、これは独特な解釈ですが効果的だと思います。「ラインの伝説」や「美しきトランペット」も楽しく聴けました。
このオケは誰よりも自分達が楽しそうに演奏するのが良いです。皆さん室内楽みたいにソロの気分でやるのが基本にあるということが実感できるので楽しめますね。
ライプツィヒの録画で感じたのは、オーボエの1番の日本人女性の音が良かったので、この方が気になっていたのですが、プログラムを開けてみると、おや、まさにこの方が寄稿しておられました。吉井瑞穂さんという方ですね。
よほど私の日頃の行いが良いのか(←かどうかはわかりませんが)、1階席なのに誰にも遮られずに彼女の吹いている姿を見られましたが、改めてライブで聴いても、やはりこの方は私にはピタッと来ますね。実に温かみのある音色です。オーボエってわりと個性的な奏者が多いのですが、この方はさりげなくアピールするようなソロで、そのへんがとても好ましい感じです。(ふと思って帰宅後、ヤナーチェク『死者の家から』のDVD(こちらの指揮はブーレーズ)を見ると、やはりこのオーボエもいいです。映像にも映っておられますがほんのちょこっとです。もっと映してほしいですがオペラだからしょうがないか・・・笑)
そう思って聴いてみると『4番』はオーボエがリリカルなメロディー、クラリネットはアイロニカルに茶々を入れるというように棲み分けできている感じがしました。(マーラーは全体にそんな感じですかね。『亡き子』の冒頭のオーボエとか。)演奏家に着目すると、そういう所に気づくのでいいですね。
ハーディングの指揮ぶりは初めて見たのですが明快な感じがします。『4番』はのっけからすごく良くて、これは来て良かったと思いました。とりわけ第1楽章が良くて、うまく言えないですが、再現部直前のクライマックスへの持って行きかたがすごく良かったと思います。
この曲はとりわけ室内楽的な明澄さが求められるから、このオケにぴったりかも知れませんね。第2楽章で、最後のほうにコンマスの「狂った調律」と隣の人の「正しい調弦のヴァイオリン」とが同時に演奏される箇所なんかも「なるほど。こういうことだったか」と思わされました。
第3楽章は最初の弦楽器だけの所から、初めてオーボエが出て来るところが美しいと思いますし、終楽章はエルトマンさんが、いかにも「天上」という感じで歌ってくれました。おかげで全楽章とも大満足でした。いやあ、本当に来ていただいて有難い話ですね。感謝します。