アラベラ第1幕

結局、アラベラ第1幕の対訳を完成させてしまいました。
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/617.html
最初の部分は、ヴァルトナーと妻のアデライーデの対話なのですが、アデライーデは夢想家なので、どこまで行っても小説みたいなことを考えていますね。これは、典型的な世間知らずの貴族の奥さんという感じで面白いです。
マンドリカとヴァルトナーの場面では、やはりマンドリカのセリフに注目でしょう。これは、意図的だと思いますが、きわめてロシア的(スラブ的というべきか?)な感じがします。ドストエフスキーの登場人物(例えばドミトリー・カラマーゾフ)みたいな激情型です。
このマンドリカのアリアを初めて見た時、台詞も音楽も「何じゃこりゃ?」とポカーンとしてしまったのですが、そう思って見直してみると、「ドイツ・オーストリア人から見た東欧・ロシア人」なのかも知れません。
森で熊と格闘(!)して、14週間ベッドで傷の治療をしながらアラベラのことを考えていたかと思うと、いきなり思い立って、森をまるごと1つ売り払い、その金を持ってウィーンに出て来るというのは、どうにもドイツ人っぽくありません。
ちなみに、アラベラの写真を同封したことになっていますが、時代設定は1860年なので、これはかなり初期の頃の写真ということになりますね。この頃、写真は「真を写す」のではなく一種の肖像画として扱われていたので、このアラベラの写真にもいっぱい修正が加えられていたはずです。

さて、いよいよ今週の土曜日に聴きに行くので、楽しみです。