こんな本を読んでみた

たまたま、こんな本を読んでみました。

新書139 わたしの嫌いなクラシック 鈴木淳史 著 (新書y)

新書139 わたしの嫌いなクラシック 鈴木淳史 著 (新書y)

こういうのを読むと、自分の好きな作曲家や演奏家がけなされていてムカつくことが多いので、あまり読まないのですが、読んでみたら、この著者と多くの部分で意見が一緒でした。なぜ一致するのか不思議な感じがします。もちろん、著者のほうが、私なんぞより圧倒的に多くの演奏を聴いているはずなので、やや不遜な物言いですが。
「こんな演奏家もキライだ」という第2章で取り上げている演奏家なのですが、実は好きな演奏家が含まれているところが面白いです。「嫌い」というのも、言語化すると、なぜ嫌いなのかが分かるので好きになるということでしょうか?
秀逸なのは、ティーレマンを「中盤のないサッカー」に譬えていることで、これは本当にうまい比喩です。ただ、5年前の本なので、最近はメキメキ良くなっているというのが私の印象です。
一つだけ違うのは朝比奈のブルックナーについての評価ですが、なんかこう、奥歯に物の挟まったような物言いですね。「これは本当にブルックナーなのか?」という・・・。著者にとっては、ヴァントは「正しい」ブルックナーであり、チェリビダッケは「奇蹟的な」(ちょっと表現が違うかも知れませんが)ブルックナーのようなので、それはそれですが。
「正しい」かどうかはともかく、朝比奈は今でも記憶に残る演奏があるから、私はやはり好きな指揮者です。チェリは、みんな誉めるから、やっぱりいいんだろうな。ライブで一回聴いておけば良かったと思います。