バラクについて

ニルソンの自伝を読んでたら「影のない女」について、いろいろ書いてありました。バラクの妻が当たり役だったので引退年齢が延びたと書いているのが面白いのですが、それと合わせて、バラクの妻から見た「バラク」について語っています。
彼女によると、バラクは、「自分の都合のいい時にだけ妻を求める亭主関白で、妻の気持ちをまったく理解しない男である」ということなのですが、なるほどそういう見方があるのかと思いました。「兄弟たちを追いださないのも良くない」というのですが、それはそうでしょうね。バラクとすれば仕方がないかもしれませんが、これは奥さんは頭に来るでしょうね。
ただ、バラクって、普通にやると、どうしてもいい人になってしまう気がして、それは演出のせいもあるのですが、何よりも歌のせいではないかと思います。温かみのある声のバリトンが、しかも柔らかな歌を歌うので、どうしても「いい人」に思えてしまいます。ニルソンも、「実際に共演するバラクの歌手はとてもいい人だった」とか書いているところがご愛嬌ですね。
新国の公演はまだ3日残っているので、もう少し書かないでおこうと思っています。ただ、今回バラクの妻が主役だとしたら、もうちょっとバラクのキャラを掘り下げてみるのも面白かったかもなあ・・・と思ったので、これだけ書いてみました。案外、ニルソンの意見みたいに、ほんとにしょーもない人として描いてみるというのもアリだったような気もします。フツーに、いい人でした(笑)。