アルバン・ベルク『ルル』進行中

今日は、『ルル』の第1幕第2場の最初の方を「オペラ対訳プロジェクト」にアップしました。
このオペラは会話が多くてモノローグは少ないので、意味を取るのはわりと簡単ですが、読みこむと内容は深くてギョッとすることが多々あります。
この場面で改めて考えさせられたのは、シゴルヒだけが彼女を「ルル」と呼び、他の男たちは、みんなそれぞれ自分の勝手な妄想で名づける部分です。(「画家」は「ネリー」、アルヴァは「ミニョン」と呼ぶ。)
どうも、このオペラでは、ルルとシゴルヒが「神話から抜け出してきた人物」という感じがします。ルルのセリフは、彼女は「ルル」と呼ばれていないと、本来の神話的・原初的な性格を失ってしまうという感じがしますね。

あと、このオペラは、現代風にしてもそのまま通用するところがあるので、できるだけ今風の口調で訳そうとしているのですが、それに合わせて、お金の単位も、マルクではなく、円にすることにしました。
そんなわけで、「絵が5万マルクで売れたよ!」という所は「5千万円」に、シゴルヒが「200マルク、できたら300マルク貸してくれ」という所は「20万、できたら30万」としています。
時代設定は、19世紀の中葉(ワーグナー存命中)ですから、その頃の貨幣価値は良く分からないので、単純に1000倍としてみただけなのですが、まあ、大体妥当かなと。

これから訳す部分では、シェーン博士が画家に「君は50万マルクと結婚したのだ!」と言うのですが、これは「5億円と結婚したのだ!」なので、まあまあいい線です。ついでに、ヴェーデキントの原作には、シェーンの死後、アルヴァは彼の出版社を「200万マルクで売却した」とありますが、これは「20億円」ですね。

よしよしと思って、ふと確認したら、今日の場面でシゴルヒに「200万貸してくれ」と言わせちゃってました。間違えちゃいました。直しておきます。

↓こちらです
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/268.html