やっぱりクナが好き。ヴァルナイも。

しつこくジークフリート第3幕にハマり続けています。
どうも目ざめのシーンが脳裏から去らず、いろいろなCDを聴いているのですが、やはり帰って行ってしまうのは、クナの57年・58年のバイロイトです。というか、これが初めて聴いたこの音楽だったので、いわゆる「すりこみ」なのかも知れません。
最近、ブーレーズとかティーレマンだったのですが、やはりクナを聴くと、オオー・・・と思ってしまいます。この人は結局、舞台を知り尽くしているのだと思います。音楽を聴いているだけで、舞台が眼前に浮かんでくるような気がします。
しかし、ヴィーラント演出というのは、一体舞台上では何が行われていたのでしょうか?映像が残ってないので、さっぱりわからないのですよ。舞台はガラーン、照明がすごい、とか書いてあるのですが、確かにこのシーンも舞台写真を見ると、絶句するほどガラーンで、中央がやや盛り上がった地平線のような丘に、ジークフリートブリュンヒルデがこちらを見てただ立っているだけ・・・。(確かに照明はきれいです)
今こんなことをやったら、入場料返せ!となりそうですが・・・。(そう考えると、この前のウォーナー演出で、幕が閉まったままぐらいでダメ出しする私は、大人げないかも?)

このリンク先の左上がそれです。
http://www.wagneroperas.com/indexwielandwagner.html

クナもいいのですが、アストリッド・ヴァルナイの声と歌い方が好きなのです。ブリュンヒルデと分ちがたく結びついてしまっています。
要は、私はブリュンヒルデが好きなのね、と改めて気付かされます。しかし、現実にこんな人いたら怖くて近寄れないような気が。「怖くないの?この荒れ狂う女が?」って聞かれたら、「こわいよ!」と叫んで逃げてしまいそうな・・・。現実ではそうなのに、舞台では、なぜかこのこわさにひかれます。これは、「神々の黄昏」第2幕の叫ぶような歌もそうで、「裏切りだ!」とか絶叫するシーンが大好きだったりします。(変わった趣味ですかね?)

昔から思っているのですが、ブリュンヒルデは、このシーンで、口説かれるのではなく、すべて自分で解決してしまいます。私は、これはすごくリアルだと思います。男が何ら気の利いたことを言えずに、どうしていいかわからないでいるうちに、女のほうが勝手に納得するリアルさ。なんなんだ?と思うのですが、男はここで思考停止し、まあいいか、うまくいったし、とか思う。しかし、実はそれが良くないのかもしれません。

どうも女の人は、このシーンを「考えることなく感じる」ことができるようなのですが。しかし、そうすると、逆にワーグナーはよくこんなものが作れたな、とも思います。