ニーチェのワーグナー論(1)

昨年の秋以来、ニーチェワーグナー論を読んでいます。ネットで原文を見ているのですが、そこで気がついたのは、ニーチェの文体の面白さです。トーマス・マンは、ニーチェを哲学者というより文章家として評価しているように思えるのですが、なぜそう思うのか少しわかったような気がします。
原文をつぶさに読んでいて思ったのは、ニーチェの文体は、いわば落語なんじゃないかと・・・。「Wie?(何だって?)」とかいう「合いの手」が、その都度入って、それまでの論旨を「まぜっかえす」のですが、ここがまさに落語のように感じる所以です。
このニュアンスを日本語で分かりやすくするのは至難の業なのですが、彼のワーグナーに対する屈折した思いを伝えるためには、できる限り、そのニュアンスを伝えるような翻訳が必要なのではないかと思います。
そのようなわけで、これまで書きためてきた翻訳を、今後、少しずつ掲載していきたいと思っております。

追記(白水社ニーチェ全集第2期第1巻(※第3期第2巻でした。大変失礼しました=浅井真男訳「ワーグナーの場合」「ニーチェワーグナー」を所収)