ティーレマン・リング礼讃

ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」

ワーグナー:楽劇「ニーベルングの指環」

もうすぐ今年も終わりです。
タイトルにあるティーレマンの2008年版バイロイトの「神々の黄昏」CD第3幕に浸っています。毎年、なぜか大晦日にこの曲を聴くのが、私の個人的行事になっております。家人は、「一緒に紅白を見よう」というので、部屋を行ったり来たりして、それとの掛け持ち状態だったりもしますが(笑)
それにしても、今年の大収穫は、ティーレマンが、こんなにいい演奏をしていることに初めて気がついたことでした。夏にバイロイト・ライブをネットラジオで聴いた(生中継していることを初めて知りました)のですが、「こんな良い演奏を聴けるとは生きてて良かった〜・・・」というのが、掛け値なしの実感でした。何が良いかというと、この人の指揮は、ドラマになってるんですよね。聴いているだけで、舞台で起こっていることが目の前にまざまざと浮かんできます。それは、ワーグナーの凄さでもあるのですが、彼の指揮は如何なくその凄みを分からせてくれます。
しかも、タイムリーに今月CDまで発売されました。「売り切れるのでは?」と心配したので、予約しましたが、入荷の連絡を受けてお店に行ったところ、フツーに積んであるので「あれっ?」みたいな(笑)。ティーレマンはヨーロッパで大人気のようですから、もっと人気があって然るべきような気もしますが、本質的にオペラ指揮者なので、要はワーグナーが日本では実はマイナーなんでしょうね・・・。
それ以来、愛聴しているのですが、有名どころではなく「普通の場面」が輝いているのが、ファンにはたまらない所だと思います。歌手もけっこう頑張っているのではないでしょうか。小粒化が言われて久しいですが、昔の超人的な歌手たちと比べれば・・・ということで、表現力があれば良いのだと思います。
「神々の黄昏」もジークフリートの記憶が戻るところから葬送行進曲までの盛り上がりが、とてもいいです!グンターが「ハーゲン、何をしたんだ?」と悲痛な声をもらし、ハーゲンが「偽誓を罰したまでのこと!」と答えるあたりも、適度な間があって、手に汗握る感じです。
葬送行進曲の前半部の回想シーンも、木管が息長く歌うところが、とてもいいです。最近とみに思うのですが、この部分って、日本的な無常感のようなものを感じますね〜。歳のせいでしょうか(笑)