「アラベラ」のファイナルシーンを訳しました

今週は、台風が来た後、ようやく少し涼しくなってきました。でも、また今日も暑かった。いったいこの夏は何なのでしょう・・・。
さて、だんだん「アラベラ」の公演が迫って来たので、いろいろ聴いていたのですが、Youtubeを見ていたら、こんなのを見つけました。
http://www.youtube.com/watch?v=j6sb0F5Zc9c&feature=related
20年ほど前のバイエルンの来日公演ですね。これはよくぞアップしてくれました。ルチア・ポップさん、かわいいです。キュートなうえに、演技がいいし、歌は文句なしにすばらしい。ヴァイクルのマンドリカも、私はいいと思うのですが、この役は、どんな人物像がいいのか、まだイマイチわかってない所があります。(ヴァイクル氏の演技は、いつもなんか悩んでいるような感じがするのですが、私はマンドリカのキャラと合っていると思う)
なお、ポップさんは、下記のCDでもこの曲を歌っているので、最近これがお気に入りで繰り返し聴いています。

不滅の名歌手ルチア・ポップ~オペラ・アリア集&歌曲集

不滅の名歌手ルチア・ポップ~オペラ・アリア集&歌曲集

これは、3枚組CDの2枚目に、アラベラだけじゃなく、「カプリッチョ」と「ばらの騎士」からの抜粋もあります。こちらも素晴らしい歌唱。オケは、ホルスト・シュタイン指揮のバンベルク響です。
さてさて、本題の日本語訳です(↓)
http://www31.atwiki.jp/oper/pages/621.html
全訳するつもりはないのですが、やっぱり「オペラ対訳プロジェクト」にもないと寂しいかな?と。そんなわけで、予習を兼ねて、このオペラの「名場面」を翻訳するつもりです。まずは、このファイナルシーンをアップしましたが、次回は第1幕の「姉妹の二重唱」と「第1幕フィナーレのアラベラのモノローグ」をアップしたいと思います。
なお、このサイトの「アラベラ」トップに行くと、「Blog onアラベラ」というコーナーがあり、そこを見るとアラベラ関係の情報がいろいろ載っているので、こちらも参考になります。その中には、「かまたさん」によるアラベラ全訳もあるので、まだご存知ない方はぜひこちらもご参照のほどを。

また話がそれました。本題、本題。それにしても、このファイナルシーンは素晴らしいですね。計算しつくされているが、それでいて自然なところに、シュトラウスの職人芸を感じます。
ところで、翻訳上のことで言うと、アラベラの最後から2つ目のセリフ「Und du wirst glauben - ?」では、未来を現わす「wirst」が大事だと思います。さきほどのポップさんのCDのリブレット(これは重宝します)では「信じてくださるのね?」との訳でしたが、私は「信じ続けてくれるわね・・・?」と訳すべきだと思います。その問いに対して、マンドリカは「ずっと今のままのあなたでいてくれますか?」(Du wirst bleiben wie du bist?)と答えます。(「あなたも今のままで居続けてくれるのですね?」でも良いかもしれません)。こちらの台詞のほうは、CDリブレットでも「未来形」で訳しています。この未来を現わす動詞「werden」は、アラベラの最後のセリフ「Ich kann nicht anders werden」(別のものになんかなれないわ)まで連続しているんですね。

自分で翻訳すると、このへんのニュアンスが良く分かって来るので、理解が深まります。
あと、小ネタとして気付いたことは、原作のト書きでは、アラベラのグラスはトレーに載せられていることになっているのですが、見た限り全ての演出で、直接グラスを手に持っていますね。本当は、直接グラスを持つのはマナー違反だったのかも知れません。あと、マンドリカがグラスを叩き割るのは、ルーマニアの風習のように書いてありましたが、この風習の意味をマンドリカ自身が解説しているのが面白かったです。
さて、Youtubeには、ほかにも、このシーンがアップされていますが、演出上そんなに大差ないですね。ここは洗練の極みなので、ここをいじると、観衆も不満でしょうね。だから、そんなに変わらないのかな?と。
それにしても、最初の動画のポップさんは、かわいい・・・。チャーミングすぎます。