都響のシベリウス7番

今夜は都響の定期を聴いてみました。ブラームスのピアノコンツェルト2番とシベリウスの7番という曲目に魅かれたもので。指揮はジョセフ・ウォルフ氏。
しかし前半のブラームスは「う〜む・・・」でした。何が良くないかというと指揮者に尽きます。ピアノ(若林顕氏)のほうを向かないのも気になったのですが、よく見ると、うつむいて楽譜にかかりっきりです。こういうシーンを見るのも珍しいです。
それでも一応音楽になっていたということは、この曲ならば指揮者なしでもできるということか?それなりの形にはなるのですが、なんか気の抜けた感じで、収穫といえば、逆説的に「ブラームスをあなどってはいかんな」と再認識できたことでしょうか。
第2楽章の出だしなんか、ピアノと低弦の掛け合いを狙っているはずなのに、今回みたいにうまくいかないと逆に「なにげに凝っている曲なので、実はうまく演奏できているのが凄い」ような気がします。いろんなところに遊び心がある曲なので、渋い楽しさがあるはずなのですが、さっぱりでした。この曲は、ピアニストは自分で見せ場を作れないので、かわいそう。
次のオルウィンという作曲家の曲も私には今ひとつピンと来なかったので「ありゃ今日はだめか」と思っていたのですが、最後のシベリウスは良かったです。のっけのティンパニからして、それまでと全然違うし、指揮者は楽譜は見ずに気合いが入っていました。通常のレヴェルから比べて良いのかどうかわからないのですが、都響の弦楽器はいいし、木管もアンサンブル的にまとめて響くので、とても良かったと思います。
なんと言ってもブラームスの時とは気迫が違いました。イギリス人なので(というのもヘンですが)シベリウスが肌に合うんですかね?最後のクライマックスのトロンボーンの直前の弦楽器が3連符(?)で上行していく所がとりわけ良かったです。まあ、曲そのものが本当に素晴らしいのですが。
シベリウスが良かったので、感想が書けて良かったです。
ブラームス「2番」はフラストレーションなので、いずれリベンジしないと気がすまない感じ(笑)。最近、ブラームスがすごく好きになってきましたが、ポピュラーなわりに「これだ!」という演奏は少ないような・・・。これはどうも「ドイツの伝統芸能」で、現代オケにはマーラーみたいなコスモポリタンな音楽のほうがやりやすいのかも知れませんね。そう考えるとブルックナーも普遍性のある音楽な気がします。
本当に満足のいくブラームスを聴くのは、簡単なようで難しいかも知れません。